RukeとLuNaYuの日記
I know the truth.
I know whole.
And I...know you.
平凡な大学生活の日記です。時折まじめな長文を書く病気になります。興味がなければ読み飛ばしてください。
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スーパーポジション (2005/07/17(日) 19:25:38)
量子力学の著しい特徴の一つは重ね合わせの原理だ。ところが、一般向けの解説だけでなく、もう少し専門的な文書でさえ、「状態Aと状態Bが可能なら、例えばA+Bのようなそれらの重ね合わせ状態があり得る」という部分を特に強調してしまう傾向がある。そのために、そんな訳のわからない状態からは、僕らの日常的な経験に反する結果が導かれるはずだ、という考えが生まれる。シュレディンガーの猫の有名な思考実験は、ここに問題意識がある。

物理で重ね合わせの原理という場合、必ず強調されるべきもう一つ重要な事があって、それは、ある時間たってAがA'になり、BがB'になるならば、A+BはA'+B'になるという事だ。もし量子力学の下で、AとBの重ね合わせから、AやBからは到底予想できないようなわけのわからない複雑な現象が起きるのならば、重ね合わせの原理を聞いて量子力学が世界を記述しているなんて信じられん、と思うその懸念は正しかったかもしれない。しかし実際には、全くその逆で、AとBの重ね合わせからはAとBから容易に予想可能な現象しか起きない。もっと簡単に言えば、「問題のない状態を重ね合わせて、それを時間発展させても、問題のない状態の重ね合わせしか起きない」という事だ。

シュレディンガーの猫の場合で言えば、毒ガス装置が
|毒ガス発生する> +|毒ガス発生しない>
という状態に準備され、猫が
|ニャー>
という状態に準備されている場合、全体の状態は
|ニャー、毒ガス発生する>+|ニャー、毒ガス発生しない>
と記述する事ができる。

そして、もちろん、ここに現れた重ね合わされている二つの状態は、それぞれ単独では
|ニャー、毒ガス発生する>→|死亡ニャー、毒ガスが発生した>
|ニャー、毒ガス発生しない>→|生存ニャー、毒ガスが発生しなかった>
という時間発展をする。

そしてそうであるならば、重ね合わせの原理によれば、今準備した状態を時間発展させた結果は
|死亡ニャー、毒ガス発生した>+|生存ニャー、毒ガス発生しなかった>
に直ちに限定されてしまうのだ。ここでは決して|死亡ニャー、毒ガス発生しなかった>や、|生存ニャー、毒ガス発生した>なる、「おかしな状態」が現れる事はない。

#通常、シュレディンガーの猫のパラドクスは、量子力学において測定行為に本質的に絡んでくる確率と、無知に起因する確率を混同している所に問題があるとされる。つまり、確率1/2で毒ガスを発生させる装置は、生きている猫と死んでいる猫の重ね合わせを作り出すわけではない。しかしながら、(超選択則によて実質的には禁止されるものの)量子力学の理論上は、生きている猫と死んでいる猫の重ね合わせ状態は許され、(おそらくは宇宙年齢よりはるかに長い時間を要する)多大な努力の下、このような状態を準備することができる。その場合にも、量子力学が正しいならば、問題は生じないはずで、実際問題が生じないというのがここの議論。

このように、状態の重ね合わせが「ごちゃごちゃした、わけのわからない、複雑で奇妙な結果(よって現実に反する)を生んでしまうのではないか」という懸念は実は全くの検討はずれなのだ。むしろ、実際に問題になるのは、この、量子力学の示す、「度が過ぎた単純さ」である。

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