RukeとLuNaYuの日記
I know the truth.
I know whole.
And I...know you.
平凡な大学生活の日記です。時折まじめな長文を書く病気になります。興味がなければ読み飛ばしてください。
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ローレンツ短縮に関するもう一つの重要な注意は、一つ前の記事でも少しこの言い回しを使ったが「運動する長さLの棒」「運動する球体」って一体なんだ?という事だ。

もちろん、物理学としてこれらの言い回しをきちんと定式化する事は簡単だ。つまり、「物体が静止して見える(もちろんこれは人にそのように見えるという意味ではなくて、物体の各点の空間座標が時間座標に依らないという意味だ)慣性系があって、その慣性系において」「長さLの棒(正確には端点がx=0とx=L等)として記述される」あるいは「球体(正確にはx^2+y^2+z^2=R^2等)として記述される」という事だ。

しかしながらこのような、対称性に由来する記述の仕方の任意性というものは、ある意味で物理学者だけが関係する技術的な問題だ。

一方、ローレンツ短縮は、もう少し実際上の興味がある、以下のような現象を示唆する。

今、NaCl結晶が光速度近くで飛んでいる。ただし我々はそれがNaClであるとは結論していない。その格子定数(結晶格子の1周期の長さでこの場合Na-Cl-Naの長さ)を相対論の意味での同時刻において正確に測定したとする。これは、我々の知っているNaClの格子定数よりもずっと短い。そこで我々はそれがNaClであるとはこれっぽっちも思わない。

ところが、このNaClを捕まえてしまって、改めて様様な測定を行うと、格子定数も含めて、あらゆる性質がNaClと同一であり、我々はそれがNaClであった事を知る。

あるいは、今ここに棒がある。その長さはLだ。これを光速度付近まで加速する。その長さを相対論的な意味での同時刻において正確に測れば、我々は確かにLよりも短い結果を得、それはローレンツ短縮の計算結果によって説明される。

こうした事が起こると考えられるのは、大まかに言って、以下のような過程を考えているからだ。

物体Oには、定常的:「各点の位置、あるいは特徴的な位置が時間変化しない」で安定:「少しの変化から速やかに回復する」な状態Aがあるとする。今、S:(x,t)系において、Oはこの定常的で安定な状態にあるとする。

Oを何らかの方法で、どの部分も大体速度v(これは光速度cに近いとする)にまで加速するとする。

すると、Oが全体的には静止して見える(記述される)慣性系S':(x',t')があるだろう。S'系においてOの状態はAとは異なるはずだ。しかし、そのずれが余り大きくなければ、速やかにOの状態はS'系において定常的で安定な状態Aに至るだろう。この時、S系においてOは、ちょうど状態Aのローレンツ変換によって記述される。その特徴的な長さについての解析は、ローレンツ短縮の計算結果がそのまま流用できる事になる。

こういった事情から、ローレンツ短縮とは、運動状態の変化に伴う変化としても捉える事が可能だ。我々が相対論的な「同時刻における空間座標」をそのまま見るのではないという事を度外視すれば、「物体は運動すると縮んで見える」と標語的に表現しても良い。

しかしここで注意を要するのは、ローレンツ短縮の、個別の現象に依存しないもっとも疑問の余地のない明瞭な表現は、先に挙げた「対称性に由来する記述の仕方の任意性」であってこれは物理法則が本当にローレンツ不変であれば必ず成り立つのに対し、今議論した事柄は具体的な、物理法則に従って起こる物理的過程であって個別の現象の詳細に依存するという事だ。

ここで問題にしているのが、純粋に、単にある状況設定で何が起こるのかという物理的問題であるという事は、我々が一方の慣性系だけで議論しても原理的には問題を議論できる、少なくとも記述できるということだ。

S:(x,t)系で考えよう。今考えている状況は、例えば、「t=0まで安定的で定常的な状態Aにあった棒に、t=0からt=aまでの間にある特定の操作を施して、大体各点が速度v(光速度に近い)で運動するようにした。この後、十分時間が経った後(t>>a)どのような状態が実現するか」という問題として定式化される。そしてこの問題には、場と粒子に関する物理法則が、原理的には完全な答えを与えてくれる。

つまり、この場合、ローレンツ短縮を引き起こすのは場だ。あるいは、場の時間変化を余り表立てて考えなくとも良いような状況ならば、粒子間の力がローレンツ短縮を引き起こすと考えても良い。つまり、ローレンツ短縮を引き起こすのは物体の弾性力だ

多くの相対論の教科書では、ローレンツ短縮が、例えば棒の両端を持ってぎゅっと縮めるような話とは全く事情が異なるという事を強調するために、様様な説明を試みる。実際そのような誤解は多いからこうした事には確かに意味があるだろうが、そのために、僕の知る限り全ての教科書でここで論じたような議論が全くなされていない(そもそも数冊しか目を通していないので、ちゃんと書いてある本もちゃんと存在するだろうが)。しかしながら地上からロケットを発射したらどうなるか、という事を考える場合にはこのような議論は必ず必要となる。

具体的に考えてみよう。

まず最も極端な例だ。しかしこれは、ローレンツ短縮を引き起こすのは物体の弾性力だという事をまざまざと描き出す。

今、x=0とx=Lにそれぞれ粒子が静止しているとする。これらの間には、何の相互作用もないとする。

そして、t=0において、それぞれ、速さvまで加速する。すると、その後のそれぞれの粒子の運動はx=vtと、x=L+vtだ。ローレンツ短縮も何もあったものではない。当たり前だ。

では、これらの粒子の間には場を介在して何らかの力が働いていて、x=0、x=Lにそれぞれの粒子があって安定な定常的状態Aにあるとする。

再び、t=0において、それぞれの粒子を速さvまで加速する。すると、とりあえず二粒子はx=vt、x=L+vtに従って動き出す。しかしこうなると場はもはや時間変化するようになる。そうして、二粒子間には力が働き、おそらくは何らかの振動が起こるだろう。そして運がよければ、二粒子は、定常的な等速度運動に落ち着き、それは、Aをローレンツ変換した状態に一致するだろう。

具体的な物理法則の知識なしに「運が良ければ」を分析するには、やはり、二粒子が大体静止して見える慣性系S':(x',t')に移行するのが良い。加速が行われた時刻付近では(ただし、Sにおいて同時刻t=0に行われた加速はS'において同時刻ではないという事に注意する必要がある。従って実際の状況はもう少し複雑でここでの計算は「運が良ければ」の「見積もり」である)、二粒子の距離は、L/sqrt(1-v^2/c^2)となっている。これはLよりも長い。従って、物体がこの程度の伸縮に耐えらる、つまり二粒子間の距離がこの程度に開いてもそれらの間に(安定な定常状態Aに復帰するような)相互作用が働くのだとしたら、安定な定常状態を中心とした振動がおきて、速やかに状態Aが実現するだろう。一方、もしL/sqrt(1-v^2/c^2)がLに比べて余り大きければ二粒子間の結合は「切れる」。つまり安定な定常状態が実現する事無く、二粒子のS'系における運動は単にx'=0, x'=L/sqrt(1-v^2/c^2)と記述される。これはS系では単にx=vt,x=L+vtだ。さらに、この物体に複数の安定な状態があれば、別の安定な状態に落ち着く事もあり得る。

#以上の解析は、もちろん、S系においても記述する事ができる。二粒子間の結合が切れる、とは、それぞれの粒子の運動が引き起こす場の時間変化がそれぞれの粒子付近で局所的に起こって完結し、互いに運動が独立になってしまうという事だろう。

以上の結果をまとめると、sqrt(1-v^2/c^2)を仮に「ローレンツ短縮率」と呼ぶとすれば、この程度の伸縮に棒が耐えられるならば、棒の運動状態の変化に伴って、「物体の弾性によってローレンツ短縮が起きる」。一方、もしそうでなければ、「棒は壊れてしまう」。

以上の解析は、亜光速宇宙船の設計に関する重大な教訓を与える。それは「あまり急激な加速をしてはいけない」ということだ。どのような影響も光速度cでしか伝わらないから、あまりに急激な加速をしてしまうと、船体の各所が独立に、局所的に加速される事になる。これは、安定な状態からの激しいズレが瞬時に引き起こされるという事であり、船体が十分に柔軟でなければ、船体はばらばらになってしまうだろう。

#こうした事情は、「相対論では物体を流体的に扱わなくてはならない」と完結に言う事ができる。つまり、相対論ではあらゆる物事を連続的な場によって局所的に扱う必要がある。実際のところ、相対論の難しさとは、相対性が云々などという所ではなく、場の理論であるために、「同時に大量の変数を扱わなければいけない」という技術的な問題だ。そして、当然、相対論の研究はその方向に高度に発展している(僕はまともに学べていないが)。だから、ここで強調したような事柄、視点は、初等的な教科書で強調されていないというだけで、別段珍しくも斬新でもない。
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