RukeとLuNaYuの日記
I know the truth.
I know whole.
And I...know you.
平凡な大学生活の日記です。時折まじめな長文を書く病気になります。興味がなければ読み飛ばしてください。
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ミニマム (2005/11/06(日) 03:46:49)
僕は基本的に、良い本は、装丁を見れば分かる、と考えている。特に本当に良い本という物は、タイトルや、あるいは背表紙が、それはもうひしひしと訴えてくる。

んで、サイエンス社の本の巻末にある既刊リストに、目を惹かれるタイトルがあった。
それは
http://www.saiensu.co.jp/magazine-htm/spsk-199901.htm
これで、タイトルは「量子力学とは何か」とまああまり変哲のないものなのだけれど、副題が``Quantum-mechanical Minimum''とある。Minimumってなんじゃー。とめちゃくちゃ気になる。これは手に入れておこう。たしかこの人の本は観測と解釈問題の本を読んで、めちゃくちゃためになった覚えがある。

あと、演習の時間に問題になったリップマン・シュウィンガー方程式に関する覚え書き。。。は長くなるので続きに
リップマン・シュウィンガー方程式は、もちろん、任意のH=H_0+Vと書かれるような三つの自己共役演算子H,H_0,Vに関して常に成り立つような式ではない。それが成り立つためには、一般には、Vの自由粒子固有状態間の行列要素<α|V|β>がエネルギーに関して``滑らかな''関数であり、特に1/(E_α-E_β)のような特異性を持たないという要請が必要。しかし、これは散乱問題に関する限り一般に自動的に満たされる。何故なら、それは、問題が散乱問題であるという事を正当化する相互作用の局所性の要請と同等、あるいは十分に自然であるから。

だから一般論としてはここに書いた程度ですませておいて、問題が生じたら個別に詳細を調べるという程度のスタンスで通常は問題がないだろうが、先日の演習問題の場合は、V(x)は遠方で十分に早く0になるとする、という事を問題文で断られていたので、以下に書く程度の説明はするべきだろう。というか、問題の作成者の意図なんてのはどうでも良いわけで、この場合リップマン・シュウィンガー方程式が固有方程式の解を与えるというよりはむしろ与えないように見えた事が問題だったわけで、厳密な議論は知らん、とかそういう問題ではない。

つまり(E-H_0)(E-H_0+iε)^{-1}VがVに等しいとは思えなかったのが問題なわけだ。しかし、これを自由粒子状態で展開し
∫dα(E-E_α)(E-E_α+iε)^{-1}|α><α|V
と表記すると、今度は、これは確かにVに等しく見えてくる。

具体的には、ラベルαとして波数ベクトルkを採って、<α|として平面波状態exp(ik・x)(規格化は省略しておく。(2π)^{-3/2}かな。)をとって見る。

さて、波動関数表示での、Vの状態ベクトルへの作用を考えよう。それは状態ベクトルに対応する波動関数ψ(x)にV(x)を乗じるという事だ。この時、波動関数が例えばexp(ik・x)のような物理的状態を正しく表していない時でさえ、V(x)が遠方で十分早く0に行くという仮定によって、V(x)ψ(x)は遠方で十分減衰するような関数になる。その、平面波状態による展開係数とは、すなわち、V(x)ψ(x)のフーリエ変換だが、これは、嫌な特異性を持たない(対照的に、例えば平面波状態exp(ik・x)の一連の平面波状態による展開係数はディルタ関数というおよそ最も嫌らしい特性性を持つ)。

すると、∫dα(E-E_α)(E-E_α+iε)^{-1}|α><α|は、エネルギーE_αに近いエネルギーを持つ平面波状態成分のみを落とし、他の成分はそのままに留める働きをするが、これは、物理的状態をほとんど変えない。あるいは、L^2関数空間の、almost anywhere 相等を考えてもよいかもしれない。

というわけで、(E-H_0)(E-H_0+iε)^{-1}V|ψ^{+}>=V|ψ^{+}>となって、ψ^{+}>はエネルギー固有状態の解である事がわかる。

僕は数学はあまりきちんとやっていないので、これがどの程度厳密な議論になっているかは知らないし、そもそも数が月前にワインバーグの本の散乱の章を読んだときの汚いノートを元にしているので正しくすらないかもしれない。ただとにかく重要な事は、散乱問題の基本的な仮定は相互作用の局所性で、それは解析的な議論においては、非常にしばしば、行列要素に嫌な特異性がないという形で現れるという事だ

まあ厳密に議論しようとするともう少し面倒になるのかもしれないけれど、事情をまとめれば大体そういう事になってそれ自体は別に大した話ではない。質問していた彼は分からないで質問したというよりも、そうした事情を了解していて、これくらいの議論はしろよというつもりで質問したのかもしれないけれど、それに対する教官の対応はちょっとひどすぎたと思う。別に演習の教官が疑問に対する完全な答えをその場で提供する義務はないと思うけれど、議論が収束すればそれで良いという態度ってのはあり得ない。それに、僕は物理学科の授業で数学的な厳密さをばりばり求めるってのは必要ないと思うのだけど、「いざとなったら厳密にできるという実感を伴った曖昧な確信」を提供する事は必須だと思う。それがなければ、物理学科は単なる技術者の養成所になってしまうし、そうなればそれこそ物理学はただのパラダイムになってしまう。あの場合、数学的に厳密にやるのがどうこう以前に、発表者も、教官も、リップマン・シュウィンガー方程式が正しいという核心を欠片も(本に書いてあるという事意外)持っていなかったのは、やっぱり問題だと考えて、発表者なり教官なりが何らかの形でフォローすべきだろう。

あと、実は原論文が、ちゃんと読んでいないけれど、全然難しくないように見える。
http://prola.aps.org/abstract/PR/v79/i3/p469_1
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